不思議な擬似日本体験

家から片道5時間もかかる場所にやってきた。用事を済ませ、海沿いを走るバスに乗っていると、途中で一人の男性がバスに乗ってくる。その男性は、白いYシャツを着て黒いズボンを履いていた。若い日本人のような顔をしており、日本の高校生が部活から帰る途中のような雰囲気だった。そこからいきなり、僕が今いるところは日本なのではないかと思えるようになった。海沿いを走るこのバスも、伊豆半島を海に沿って走っているのではないかと錯覚してしまう。どちらにしろ夕方で、楽しい事が終わって帰る寂しさは一緒だけど、なんだか少しホッとする。日本にいればとりあえずは日本語が通じるし、もし無一文であったとしても死ぬことはない。一方外国にいると頼る人もいないし、もし何かあった時にどうしていいかわからないストレスが常にかかっている。自分の選択で海外にきたのだから誰にも文句は言えないけど、せめて週末でも日本に帰れたらいいのに。