国籍とかいう既得権

僕が海外に来て最大の懸念だったビザ。ネットを見てみると、ビザでヒヤヒヤしている人が結構多いことに気づいた。

三ヶ月以上外国で働くためには当然労働ビザが必要。ビザというのは会社マターではなく国マターなので、就職の内定が出たからといってビザが下りるとは限らない。ビザが下りなければ、失職になるので本人にとっては相当なダメージになる。

これが気になって僕はビザの承認が下りるまでは本当に寝れないぐらい心配だった。

周りの同僚にビザのことを聞いたら、驚くべきことを知った。EUに加盟している国はEU内で働くときにはビザが必要ないらしいのだ。僕はこの時正直に「ヨーロッパに生まれてきやがってこのやろう!」と思った。

ただよく考えると、日本国籍も世界からみると相当な強権力。隣の国の中国だったらどこに行くにもビザが必要なのに、日本国籍だとほとんどの国はビザなしで旅行ができる。

僕は数年前に青年海外協力隊でタンザニアに行ったけど、それは僕がただ日本にたまたま生まれたから支援する側になっただけで、能力があったわけでもなんでもない。シリアの難民も、難民自体は何も悪くはない。

生まれる場所は選べないのだから、それによって人生が左右されてはならないというのが僕の考え。でも実際は違う。日本に生まれたら、その人がたとえ極悪人だとしても自動的に日本という会員制クラブに入れる。本当は、「日本語検定3級以上で、税金を月に3万円払える人は誰でも日本に住める」としたほうが公正だと思う。ただ実際はそうではない。

そんなこと言ってもこんなポンコツの僕にはどうしようもできないけど、僕は今日本国籍を持っているというのは事実なので、その権力はフル活用しなければ損だとは思っている。そして、これは綺麗事かもしれないけど日本国籍という強力な既得権益を持っている以上、権力を持っていない人たちよりも苦労をして、そういう人たちを支援したいと思っている。でもなかなかできないんだよなぁ。