ニキータ(男)との出会い

友人はいないが、一日中家の中にいられない体質なので、用事はないが街の中心にいく。どうせ定期を使うので無料だし。

雨と風で、いつも以上に寒い。帽子をかぶり駅の小さな風よけに入る。そこには一人の男がいた。すると、男が突然僕に話しかけてきた。その男は明らかに欧米人の顔をしていたが、なんと日本語を喋ってきた。スウェーデンに来て、話しかけられたことも初めてだし、そもそも日本語を聞いたのも初めてだった。

その男はニキータといって、なんと僕と同じ職場、同じアパートに住んでいる。ロシア人だが、スウェーデンに来る前は、東大で働いていたらしい。

僕は本当に嬉しかった。これで知り合いができた。しかも、スウェーデン歴がどちらも浅いというアウェイ具合も一緒。寂しかった僕は純粋に、君に会えて嬉しいと言った。ただ、ホモに思われないようには気をつけた。そしたら彼が一言。

「そりゃ来て一ヶ月なら友達はいないのは当たり前だよ。」

それを聞いて安心した。そりゃ一ヶ月だもん、友達がいなくてもスウェーデン語が喋れなくても問題ないのだ。焦る必要はないのだ。

連絡先は交換したが、男同士なのでおそらく一緒に街に行くこともなければ、一緒にご飯を食べることもほとんどないだろう。ただ、僕と同じ状況にいる人と会えたというのは嬉しい。ただ、ニキータはイケメンで僕に話しかけるぐらいだからおそらく人懐っこい性格だろう。僕よりも断然早く友達を作ってパーティとかしちゃったりしたら、結局僕は孤独感を感じるだけである。