SLカードで行ける一番遠い場所(?)Enskärに行く



SLカードというのは、簡単に言えばストックホルム版Suica。ただし、Suicaと違うのは、ストックホルムエリア内であればバス、電車、船が乗り放題なのである。30日パスは約1万円で、それを払えば一ヶ月間は乗り放題になる。

僕は貧乏性が体に染みついているので、飲み放題、食べ放題、乗り放題というような”放題”に弱い。そして、絶対に元を取ってやろうという考えが出てきてしまう。

このSLカード、乗り放題なのであれば、できる限り遠くに行った方がお買い得なのである。ならばこのSLカードで、一番遠くに行けるところはどこか調べてみた。



SL社のサイトでは、このようにストックホルムエリア内の駅が表示されている。右上に一つ離れた場所にある船着場があるのがおわかりいただけるだろうか。

ここはEnskärという場所であるらしい。SLカードの元を取るためにも、行かなくてはならないと思い、この度行ってきたのである。

電車とバス、そして最後は船を乗り継いで行くのだが、船に乗る時は前日までに電話をするようにと書いてあった。もともと乗る人が少ないので、連絡がないと運休になるのかもしれない。

僕「Enskarに日曜日に行きたいのですが。」
SL「いいよ、ってか前も電話してきたよね?」

そうなのだ。実は僕は2週間前にも電話していたのだ。ただその時は、行く途中バスの方向を間違えるというショボミスをしてしまったため、そこにたどり着けなかった。

どうせSLカードで乗れるのだから、キャンセル料を払えとは言われないだろうと思ったが、よく調べてみると最後の船は別料金であることがわかった。船の料金は47クローナ(五百円)から140クローナ(1500円)の間らしい。ただ、Enskarまでの値段は書かれてなかった。

もしかするとキャンセル料として、往復のチケットを余計に払わなくてはならないかもしれない。その場合、最高額の140クローナだった場合、2往復買わなくてはならないので140x4=560クローナ(六千円)払わなくてはならない。わけのわからない島に行くのに6千円も払うのは出費が痛いが、さすがに今回バックレるともう2度とこの島には行けなくなると思い、行ってきた。

行きの時刻表は以下の通りである。

07:26 Östermalmstorg
          14 Metro red line 14 towards Mörby centrum
07:36 Danderyds sjukhus »
07:52 Danderyds sjukhus
          676 Bus 676 towards Norrtälje
08:40 Campus Roslagen »
08:50 Campus Roslagen
          631 Bus 631 towards Rådmansö
09:35 Räfsnäs brygga
09:45 Räfsnäs
          och kommer fram till Enskär ca
10:20 Enskär



行きのバスは、二階建てのバスであった。しかもWifiが付いていてかなり快適。


船着場に到着し、定刻に船は出発した。僕が懸念していたキャンセル料は請求されず、運賃も最も安い往復95クローナ(千二百円)だった。よかったよかった。



乗客は僕以外に若者が3人。大工道具を持っていたのでもしかしたら仕事かもしれない。彼らは途中の島で降り、Enskarまでは僕一人になった。




Enskarについた。船着場の近くには数軒の家があり、遊具が置かれていた。その前を通ると、家からおじさんが出てきて「だれかに会いにきたのか。」と聞かれた。特に用事もなくこの島に来た僕は、正直に「ただ来たかっただけだ」と答えた。おじさんは心優しく「そうかそうか。ここはほとんど誰も来ないからびっくりしたよ」と言った。僕とおじさんが話してると、その息子と息子のいとこも来て僕に挨拶した。田舎の風景である。ただこんな辺鄙なところなのにものすごく流暢な英語を喋るのが、スウェーデン人の英語力の高さを感じる。




おじさんの言う通り、この島はものすごく小さい上に道が整備されていないので十五分もあればこの島にある道と呼べるものは全て歩けてしまう。この島はおじさんとあと数軒の家族のほぼプライベートアイランドのようなものかもしれない。




ずいぶんとあたたかくなったが、まだ冬。海には氷が残っている。カキ氷のような氷だが、波に洗われても全く溶けないのが面白くてしばらく見ていた。



昼近くになり、持ってきた弁当を食べる。生まれて初めて弁当を作った。卵焼きを挟んだおにぎり。蓋を開けた時に感じるご飯の匂いが、中学高校の頃の昼食時間を思い出させる。



弁当を食べ、いよいよやることのなくなった僕はなるべく日が当たって風が来ず、平らな岩を探して寝転がった。朝が早かったので、眠い。ストックホルムはずいぶん日が長くなって、しかも今日は晴れ。スウェーデンに来て一番日の光を浴びたと思う。


二時半近くになり、船着場で待つ。本当に船は来るのか心配だった。もともと1日2便しか来ないからこの時間に来ないと野宿になってしまう。心配だったがちゃんと船は来てくれた。帰りの船は行きと違ってほぼ満員。僕とは違う島から乗ってきたが、他の島はもっと人が多いのだろうか。

今回の島の旅、面白かった。首都、しかも先進国の首都から日帰りでこんな島に行けるところなんて他にあるのだろうか。ストックホルムは素晴らしい。今度島に行くときは銀マットを持って行こう。
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